遺伝子検査結果告知の帰り道
赤ちゃんは男の子だった。16トリソミーで生まれてくるのは無理だった。次も、可能性はわからない。
そんな結果を抱えての帰り道、向こうからおくるみに包まれた赤ちゃんを抱っこしたお母さんとお父さん、絵に描いたような幸せ家族がやってきた。
あぁ、幸せそうだな、と思った時の私は嫉妬の気持ちなどなかったように思う。
近づいてきたその家族は、偶然にも職場の同僚だった。「どうしたの⁉︎今から出勤?」
と問われて、「うん、検査の結果もらってきた。男の子だったけど遺伝子異常だって」と答えるわけにはいかないわね。
幸せ夫婦はこれから保育所の面接だそうだ。希望ランクとしてはだいぶ下の方の無認可保育所に滑り込みだそう。これから共働き、いろんな苦労もあることだろう。できることはしてあげたい、支えてあげたいという気持ちも本当。
その足で向かった商店街では、知り合いがセリを売っていた。寒い中そんなアルバイトもある。
誰もが、大変そうだけど、楽しそう。
私も、大変だけど、楽しい、
と言えるようになりたい。